安定した走りと見た目の良さから、最近ではMTBが街乗り自転車として選ばれることも増えてきています。今回は、「街乗り自転車」という視点でMTBを選ぶ際のポイントをまとめました。
どれくらいかかる?自転車の海外通販でかかる税金と免税・減税制度まとめ
公開日: 2021/10/27
日本で売っていないものや、格安の自転車パーツを買うのに便利な海外通販。自転車の海外通販をするのであれば、避けて通れないのが関税などの税金です。
この記事の目次
スポンサーリンク
30秒でわかる自転車の海外通販でかかる税金
- 購入額 + 送料が16,666円未満なら「免税」
- 16,666円を超えても自転車本体・部品の関税は「無税」
- 関税が0円でも16,666円を超えたら消費税はかかる
- 通関処理後の確定税額が1円以上なら通関手数料がかかる
税金の種類
個人が自転車の海外通販で購入した場合は、全て個人輸入扱いになり、下記の3つの税金・手数料の対象になります。
- 関税
- 消費税
- 通関手数料
関税
海外から輸入された製品は、輸入元国・対象商品ごとに定められた関税を支払う義務があります。これは原則全ての海外製品に対して課されます。
ただし、輸入品目によっては無税の品目もあり自転車の車体と部品はそのうちの一つです。自転車のパーツであれば、基本的には関税は無税と思って良いでしょう。
さらに、個人が海外通販で購入した製品については一定金額までは免税・減税措置制度があるため、購入した合計金額と国際送料の合計次第で、関税課税品目だったとしても、無税になります。
消費税
海外通販で購入した場合は、現地の消費税(VATなど)が免税されることがほとんどですが、その代わりに「日本国内で消費する」という意味で、日本の消費税が課されます。
通関上は消費税(国税)および地方消費税に分かれますが、国内で買い物した際と同じ消費税率です。2021年現在で言えば、日本の消費税率は10%で、内訳は消費税(国税)が7.8%、地方消費税率が2.2%です。これは海外通販に限らず、全ての日本の消費税が実はこういう仕組みになっています。
消費税についても関税と同じ個人輸入の免税・減税制度があるため、対象品目を一定金額まで輸入する分には免税されます。
注意したいのは、消費税と関税は別という点です。自転車本体・部品は「関税は免税」なので関税が免税されますが、個人輸入の免税額の範囲を超えれば、「消費税は総額に対して課税」されます。
通関手数料
個人輸入の免税制度を超えた場合、関税・消費税を支払うことになりますが、その際には通関手数料が発生します。通関で判定された税金が0円の場合は通関手数料は発生しませんが、税金が1円でもかかれば通関手数料が発生します。
スポンサーリンク
免税・減税される条件
個人輸入免税
個人輸入の場合は「輸入評価額が1万円未満は免税」という制度があります。
さらに個人輸入の場合は、「輸入評価額は商品代金の60%」という優遇制度があるため、実質、「商品代金+国際送料の合計金額が16,666円(60%で9,999円)」までなら免税となります。この場合は、関税、消費税、通関手数料は不要です。
ただし、革製品やニット・編物の衣類などの除外品目を購入した場合は、免税措置の対象外になるため、輸入評価額が1万円未満でも課税対象になります。
自転車用品で言えば、一般的にはシューズが革製に当たりますが、シューズについては革製品ではなく「スポーツシューズ(分類:Rubber or Plastic Shoes)」に分類されることが多いようです。
少額輸入貨物の簡易税率
個人輸入免税の上限である16,666円を超えた場合は、次に「少額輸入貨物の簡易税率」という減税制度が適用されます。
自転車のパーツはそもそも関税は無税ですが、それ以外の他の自転車用品を個人輸入する際は、課税価格の合計額が20万円以下であれば、一般の関税率とは別に定められた簡易税率が適用されます。
品目(具体的な商品例) | 関税率 |
---|---|
ワイン | 70円/リットル |
焼酎等の蒸留酒 | 20円/リットル |
清酒・りんご酒など | 30円/リットル |
トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品など | 20% |
コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く)など | 15% |
衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く)など | 10% |
プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具など | 3% |
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 | 無税 |
その他のもの | 5% |
自転車の海外通販で買うもので言えば、サイクルウェアは「衣類及び衣類附属品」に当たるため、関税率は10%になります。
ただし、下記の製品は個人輸入でも一般税率が適用されます。
- 米などの穀物とその調製品
- ミルク、クリームなどとその調整品
- ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
- たばこ、精製塩
- 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
- ニット製衣類
- 履物
- 身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)
自転車用品では、「米などの穀物とその調製品(補給食など)」や「旅行用具、ハンドバッグなどの革製品(革製のサドルバッグなど)」「履物(ビンディングシューズなど)」あたりが該当するでしょう。
なお、これらの減税措置はあくまで関税上の措置ですので、消費税は10%のままです。
自転車通販個人輸入時の税金シミュレーション
では、実際に海外通販で購入した場合にどのように税金がかかるかシミュレーションをしてみてみましょう。あくまで例ですので、実際の税額は異なる場合があるのでご了承ください。
# | 品目(具体的な商品例) | 金額 | 関税率 |
---|---|---|---|
1 | ホイール | ¥25,000 | 0% |
2 | ビンディングシューズ | ¥10,000 | 10% |
3 | ビブショーツ | ¥8,000 | 10% |
4 | タイヤチューブ(5個) | ¥3,000 | 0% |
5 | 送料 | ¥4,000 | 0% |
合計 | ¥50,000 | - |
まず、合計金額が50,000円ですので、個人輸入免税の16,666円を超えているためこの時点で課税対象となります。
次に、関税については、無税となる自転車部品と送料以外の(2)(3)に対してかかるので「18,000 x 10% = 1,800円」となります。
次に、消費税は購入額の総額 + 送料に10%かかるので「50,000 x 10% = 5,000円」となります。
よって、税額は「1,800(関税) + 5,000(消費税) = 6,800円」となり、これに通関手数料を加えた金額を支払うことになります。
スポンサーリンク
個人輸入と通関処理の豆知識
税金・手数料の支払いは基本的に代引き
もし、課税対象となった場合は、国内配送業者が自宅に配送するタイミングで税金を支払います。
その場での現金払いのみとなるので、通関会社からもらったトラッキング番号でステータスを調べて、通関を通過したら、おおよそどれくらいかかるかを計算して、少し多めの現金を用意しておきましょう。
フェデックスなど一部の業者は、後払いの場合もあります。
審査・検査方法によっては通関処理に時間がかかる
日本の通関では、
- 簡易審査扱い
- 書類審査扱い
- 検査扱い(開封検査)
の3種類で輸入検査をします。
個人宛でインボイスの評価額が16,666円未満であれば、基本的に簡易審査扱いでそのまま通関を通るため、ほぼ即日通関処理が終わります。免税額を超えた場合でも、大手海外通販を使う場合は「送り元」に信頼があるため、簡易審査扱いになることが多いでしょう。
簡易審査扱いにならないと、基本的には書類審査扱いになります。この場合は、申告品目・関税率が正しいか、不正に金額を低くしていないかなど、通関士による書類作業が入るため、通関の順番待ちをする関係上、通関処理完了まで時間がかかることがあります。
開封検査は、通関士が荷物の中身を開けて、インボイスと現物の中身が正しいかを一つ一つ手作業で確認します。開封検査になる確率はあまり高くないですが、船便などの場合、コンテナ単位でサンプリング調査の対象になってしまうと、開封通関になることがあります。開封検査になると非常に時間がかかります。
自転車用品を海外から個人輸入をする場合は、時間に迫られるという方は少ないとは思いますが、覚えておくと良いでしょう。
短期間に高頻度で同じ製品を輸入すると「商用」と認定されることがある
ここは完全に通関士の判断次第になりますが、同じ製品を短期間で複数回個人輸入すると、商用と判断され、個人輸入の免税・減税対象から外されることがあります。
どれくらいの数量・頻度を「商用」と判断するかは処理をする通関士次第になりますが、例えば、毎月同じタイヤチューブを30本購入していたら「商用」と判断される可能性が高くなるでしょう。
一度商用認定されると、その後の同一住所宛の個人輸入が全て「商用」とされるケースもあるので注意しましょう。
「一般的に考えて個人使用の範囲」であれば問題ありませんが、「ついでだから格安チューブを大量に買って、オークションで転売しよう」なんてことをしていると、商用認定される可能性があるのでなるべく避けた方が良いでしょう。