WheelTopの電動コンポーネント「EDS」の特徴、スペックまとめ
中国メーカーWheelTopが新しくリリースした格安電動コンポーネント「EDS」についてスペックや特徴をまとめました。
最終更新日: 2022/03/30
公開日: 2020/09/09
エンジンが人間であるため、無限に速度が出せそうな自転車ですが、実は、ギア比とケイデンスで最高速度はおおよそ決定されていまします。今回は、ギア比、ケイデンスとは何か、最高速度の関係性を見ていきます。
この記事の目次
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意外かもしれませんが、実は自転車を買った時点で、その自転車に乗った時の最高速度はほぼ決まっていると言っても過言ではありません。
というのも、自転車の速度は、「気合い!」とか「勢い!」とかで決まるものではなく(もちろんそういう要素も全くないとは言えませんが)、きちんとした計算で算出されます。
自転車に限らず、ギアを使った車両の速度の計算はシンプルで、
「ギア比 x 平均ケイデンス(回転数) x タイヤサイズ」
という式です。
この式のままだとパッと理解しづらいですが、簡単にいうと、
ということになります。
自転車はペダルを踏む側のフロントギア(チェーンリング)と、後輪についているリアギア(スプロケット)を組み合わせて前に進みます。その組み合わせでギアの重さを測るのが「ギア比」です。
ギア比は、簡単にいうと「クランクを1回転させた時に、リアホイールが何回転数か?」ということで、当然ですが、リアのスプロケットがどんなギア構成になっているか、いま何段に入れているかでギア比は変わります。
自分でチェーンリングやスプロケットを交換することで、自転車のギア比構成を変えることが出来ます。交換のしやすさや選択肢の広さから、リアスプロケットの歯数構成を変えて、選べるギア比をカスタマイズするのが主流です。
リアスプロケットの歯数構成をどう選ぶかは、「クロスレシオ」や「ワイドレシオ」など欲しいギア比によって異なります。この辺りについては下記の記事をどうぞ。
クロスレシオ、ワイドレシオ、奥が深いスプロケットとギア比の世界
クロスレシオ、ワイドレシオ、奥が深いギア比の世界。スプロケットの歯数を変えることでどんなメリット・デメリットがあるのか、チェーンリングとの組み合わせなどを見ていきます。
「ケイデンス」はフロントギアの回転数です。ケイデンスは「rpm(rotations per minute = 1分間の回転数)」で表記します。これは自転車に限らず、自動車でも同じです。
ケイデンスは漕ぐ人間の力によります。街乗りでブラブラと走るくらいなら平均40〜50rpmくらいですし、ロードバイクなどのスポーツバイクの巡行時の平均ケイデンスは80rpmくらいと言われます。プロ選手であれば平均90rpm以上を継続でき、ゴール前のスプリント時は120rpmを超えます。
自転車の速度を決める要素のうちうち、購入後に変わるのは「毎分何回ペダルを回すか」だけ、つまり自分次第なのは「ケイデンス」だけなのです(パーツをカスタムする場合は別です)。
その意味では、「気合い!」とか「勢い!」が関係してくるとも言えます。ただし、人間の出せるケイデンスには限界があるため、ギア比 x タイヤサイズの壁は超えられません。
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今回の計算は全て平坦な道を走る前提とします。特に、坂道では条件が異なりますのでご留意ください。
タイヤサイズとタイヤ周長については、自転車に搭載されているものによって異なります。
例えば、ロードバイクで一般的な700 x 23Cのタイヤサイズでしたら1回転で2.09m進みます。当然ですが、タイヤの径が大きくなるほど、太さが太くなるほど、1回転での進む距離は長くなります。
ギア比の計算方法は簡単です。「フロントの歯数 ÷ リアの歯数 = ギア比」です。
実例で確認してみましょう。
フロントギアの歯の数が50個(50Tと表示されます)で、リアギアの歯数が25個(25T)に入っている場合は、「50T / 25T = 2.0(ギア比)」となり、クランクを回してフロントギアが1回転するとリアギアは2回転します。
ギア比は大きいほど速くなるので、リアギアの歯の数が減れば減るほど速く走れます。重いギアが小さいのはこのためです。
ちなみに、一般的なシティサイクル(所謂ママチャリ)のギアは、フロントギアの歯数が32、リアギアが14で、ギア比は2.285が多くなっています。ロードバイクやクロスバイクであれば、2速か3速あたりのイメージです。
ここまでの数字が出ると、フロントギアが1回転すると進む距離が算出できます。ギア比はクランクを1回転した時のリアホイールの回転数がわかるため、先程確認したタイヤ周長で掛けてあげれば良いのです。
例えば、700 x 23Cのタイヤで、ギア比2.0(50T / 25T)で走る場合、フロントギア1回転で進む距離は、「2.09m x 2 = 4.18m」となります。
フロントギア1回転で進む距離が算出できたら、あとはどれくらいクランクを回転させるか(ペダルを踏むか)です。
ケイデンスが出れば、いよいよ時速が計算できます。先ほどの、700 x 23Cのタイヤで、ギア比2.0(50T / 25T)での例で見ると下記のようになります。ケイデンスは分単位、時速は時間単位なので、最後に60を掛けてあげます。
平均ケイデンス | 計算式(タイヤ周長 x ギア比 x 回転数 x 60分) | 時速 |
---|---|---|
50rpm | 2.09 x 2 x 50 x 60 = 12,540m | 12.5km/h |
60rpm | 2.09 x 2 x 60 x 60 = 15,048m | 15.1km/h |
70rpm | 2.09 x 2 x 70 x 60 = 17,556m | 17.6km/h |
80rpm | 2.09 x 2 x 80 x 60 = 20,064m | 20.1km/h |
90rpm | 2.09 x 2 x 90 x 60 = 22,572m | 22.6km/h |
100rpm | 2.09 x 2 x 100 x 60 = 25,080m | 25.1km/h |
120rpm | 2.09 x 2 x 120 x 60 = 30,096m | 30.1km/h |
200rpm | 2.09 x 2 x 200 x 60 = 50,160m | 50.2km/h |
つまり、タイヤ周長がロードバイクなどに多い700 x 23Cであれば、ママチャリでも時速50km以上出せるということになります(ケイデンス200rpmというのは現実味がありませんが)。
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今度は、同じケイデンスでギアを変更するとどれくらい速度が変わるのかをみてみましょう。
参考データは、GIANTのクロスバイク「ESCAPE R3」のギアのフロントをアウターに固定して、リアギアを変更する想定で計算します。
クロスバイクであるESCAPE R3は、速度を求めるロードバイクよりも少し太めのタイヤで、サイズは700x30Cでタイヤ周長は「2.14m」、ケイデンスは60rpmで計算します。
変速 | ギア構成 | タイヤ周長 | ギア比 | ケイデンス(回転数) | 時速 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 48T-32T | 2.14 | 1.50 | 60 | 11.5km/h |
2 | 48T-28T | 2.14 | 1.71 | 60 | 13.2km/h |
3 | 48T-24T | 2.14 | 2.00 | 60 | 15.4km/h |
4 | 48T-21T | 2.14 | 2.29 | 60 | 17.6km/h |
5 | 48T-18T | 2.14 | 2.67 | 60 | 20.5km/h |
6 | 48T-15T | 2.14 | 3.20 | 60 | 24.6km/h |
7 | 48T-13T | 2.14 | 3.69 | 60 | 28.4km/h |
8 | 48T-11T | 2.14 | 4.36 | 60 | 33.6km/h |
ケイデンス60rpmは、ゆったり走るポタリングでちょっと速めくらいの回転数なので、ポタリングでもトップギアなら33.6km/hも出てしまいます。クロスバイクで原付バイクの制限速度超えです。
逆にローギアでケイデンス60rpmでは、いかに5万円のGiantのクロスバイクに乗っていても、そこらの1万円のママチャリにも余裕で抜かれてしまいます。
また、ケイデンス60rpmの場合、ギアを1段あげても2〜3km/hくらいしか速度が上がりません。自転車を漕いでいると3速くらいあげると「かなり重い」と感じますが、実際には同じケイデンスを維持してようやく時速6km/hほど速くなる程度です。
さて、今度は同じGIANTのクロスバイク「ESCAPE R3」で、ケイデンスをあげてギア比ごとの速度を比較してみましょう。
まずはケイデンスを80rpmにあげてみます。
変速 | ギア構成 | タイヤ周長 | ギア比 | ケイデンス(回転数) | 時速 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 48T-32T | 2.14 | 1.5 | 80 | 15.4km/h |
2 | 48T-28T | 2.14 | 1.71 | 80 | 17.6km/h |
3 | 48T-24T | 2.14 | 2 | 80 | 20.5km/h |
4 | 48T-21T | 2.14 | 2.29 | 80 | 23.5km/h |
5 | 48T-18T | 2.14 | 2.67 | 80 | 27.4km/h |
6 | 48T-15T | 2.14 | 3.2 | 80 | 32.9km/h |
7 | 48T-13T | 2.14 | 3.69 | 80 | 37.9km/h |
8 | 48T-11T | 2.14 | 4.36 | 80 | 44.8km/h |
グッと速度が上がりました。1速でも15km/h、最高で約45km/hです。
続いて、100rpmの場合。
変速 | ギア構成 | タイヤ周長 | ギア比 | ケイデンス(回転数) | 時速 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 48T-32T | 2.14 | 1.5 | 100 | 19.3km/h |
2 | 48T-28T | 2.14 | 1.71 | 100 | 22.0km/h |
3 | 48T-24T | 2.14 | 2 | 100 | 25.7km/h |
4 | 48T-21T | 2.14 | 2.29 | 100 | 29.4km/h |
5 | 48T-18T | 2.14 | 2.67 | 100 | 34.3km/h |
6 | 48T-15T | 2.14 | 3.2 | 100 | 41.1km/h |
7 | 48T-13T | 2.14 | 3.69 | 100 | 47.4km/h |
8 | 48T-11T | 2.14 | 4.36 | 100 | 56.0km/h |
トップギアで56km/hとなりました。普通道路の自動車くらいですね。
最後に120rpmで計算してみます。
変速 | ギア構成 | タイヤ周長 | ギア比 | ケイデンス(回転数) | 時速 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 48T-32T | 2.14 | 1.5 | 120 | 23.1km/h |
2 | 48T-28T | 2.14 | 1.71 | 120 | 26.3km/h |
3 | 48T-24T | 2.14 | 2 | 120 | 30.8km/h |
4 | 48T-21T | 2.14 | 2.29 | 120 | 35.3km/h |
5 | 48T-18T | 2.14 | 2.67 | 120 | 41.1km/h |
6 | 48T-15T | 2.14 | 3.2 | 120 | 49.3km/h |
7 | 48T-13T | 2.14 | 3.69 | 120 | 56.9km/h |
8 | 48T-11T | 2.14 | 4.36 | 120 | 67.2km/h |
120rpmだと、3速でも時速30km/hを超え、トップギアで67km/hほどです。
繰り返しになりますが、ケイデンス120rpmというのはプロ選手レベルなので、逆に言えばプロ選手が乗ってもGIANTのクロスバイク「ESCAPE R3」は最高で70km/hほどしか出せません。しかも、トップギアでケイデンス120rpmというのは、かなり重いので数分しか継続できません。
つまり、漫画にあるようなロードバイクで80km/h超えというのは、この自転車で平坦道を走る上では理論上は無理ということになります。
自転車のギア比とケイデンスと速度の関係をみてきました。
自転車に乗る際に必ずしも速度にこだわる必要はありませんが、サイクリングなどのロングライドの場合は、自分の自転車と体力的に出せるギア+ケイデンスで、おおよその巡航速度が出せます。
自転車を選ぶ際は、どういったタイヤサイズのギア構成が良いのかを考えて選んでみてください。
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