自転車のタイヤ用シーラント役割と使い方、選び方ガイド

最終更新日: 2023/12/26

公開日: 2022/04/26

ロードバイク・MTBなどで使われるシーラントとは何か、そのメリットとデメリット、シーラントの選び方、どれくらい入れれば良いのか、いつ追加・補充すればいいのかなど、シーラントの使い方ガイドをガイドします。

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自転車タイヤ用シーラントの基礎知識

自転車タイヤのシーラントの役割

ロードバイクやMTBなど自転車で使われるシーラントは、タイヤやチューブの中に入れる専用の液剤で、

  1. 隙間を埋めてエア漏れを防ぐ
  2. パンク時に穴を埋めて一時的に修復させる

という目的で使われます。

シーラントは特殊な液剤のため、リムとタイヤの間に1mm未満の微細な隙間があっても、内部にシーラントを入れておくことで隙間を埋めることが可能です。

また、シーラントには「パンクを一時的に修復する」という効果もあります。シーラントが入った状態のタイヤに穴が開くと、内部の空気が穴から外に出る流れに乗ってシーラントが穴に集まって固まり、穴を埋めてくれます。

シーラントが使われる自転車タイヤの種類

自転車のタイヤは、大きく分けて以下の4つの種類があります。

  1. クリンチャー(チューブド)
  2. チューブラー
  3. チューブレス
  4. チューブレス・レディ

それぞれのタイヤで、シーラントがどのような用途で使われるのかを見てみましょう。

タイヤ種類 エア漏れ防止 パンクの一時的な修復
クリンチャー(チューブド) - -
チューブラー -
チューブレス -
チューブレス・レディ

シーラントはクリチャー以外のタイヤでは「パンクの一時的な修復」として使われます。一方で、「エア漏れ防止」という用途で使われるのは、チューブレス・レディタイヤのみとなります。

現在市場に出回っているチューブレス系のタイヤ、ホイールはほとんどがシーラントを必要とする「チューブレス・レディ」なため、シーラントがないとタイヤとリムの隙間からエア漏れが発生し、空気を維持できません。そのため、チューブレスとシーラントはセットで使うものと言っても過言ではありません。

クリンチャータイヤでシーラントを使う(チューブにシーラントを入れる)のも問題ありませんが、重量が増えるデメリットを考えたら、シーラントを入れるよりもチューブを交換するのが一般的です。

シーラントの種類と特徴

チューブレスタイヤのシーラントには様々な種類がありますが、大きく分けると以下の2種類でしょう。

  1. ラテック系シーラント
  2. 合成ゴム系シーラント

これに加えて、製品によって固形粒子を入れて穴を塞ぎやすくする工夫をしています。

それぞれの特徴(メリット・デメリット)は以下の通りです。

シーラント種類 メリット デメリット
ラテックス系シーラント 穴を迅速に埋めてくれる
軽量
乾燥しやすいため、追加補充が頻繁になる
ゴム系シーラント 乾燥に強く、効果が持続する 重量がやや重い

また、製品によって価格も異なるため、予算とメリット・デメリットを考慮した上で、どちらのタイプを使うかを選びましょう。

シーラントを使うメリット

小さなパンクなら走って帰ってこれる

シーラントは隙間を埋める役割があるため、パンクなどで空いた小さな穴を埋めてくれます。これで完全にパンク修理ができるわけでは無いですが、しっかりシーラントを充填しておくと、釘を複数指しても空気が抜けないほど修正力があります。

シーラントを発売しているBlack Oxでは、シーラント入りMTBタイヤをライフルで撃ち抜いてもパンクしないという動画をアップしているほどです。

ロードバイクのレースシーンで愛用者が多いチューブラータイヤは、チューブとタイヤが一体化しているため、「パンク = タイヤ交換」となり、出先で複数回パンクをしてしまうと、予備タイヤがなくなってしまうことがあります。チューブレスタイヤにシーラントを入れておくと、空いた穴をシーラントが埋めてくれるので、ある程度なら走行可能になります。

そのままロングライドに出かけるのは難しいですが、出先から自宅まで、もしくは近場の駅までなどへは走ることができます。人によっては「パンクしたらシーラントを入れて空気を入れて帰ってくる」という人もいます。

1本持っておくと、チューブレス化した時に使える

チューブラーとチューブレスのシーラントに違いはほとんどなく、粘度が違うだけと言われています。

ですので、チューブラーユーザーの方は、買ったシーラントを後々チューブレス・レディ化した時に使いまわせます。シーラントはタイヤ1本あたり300〜600円くらいなので、残ってしまっても使い回しができます。

また、「レースはチューブラーのロードバイク、サイクリングはチューブレス・レディのグラベルバイク」のようにバイクを使い分けている方は、どちらもシーラントを使うことでパンク時の対処も楽になり、荷物を減らすことができます。

シーラントを使うデメリット

慣れないうちは汚れる

プロショップの方や慣れた方がシーラントを使う場合は問題ないですが、慣れないうちはシーラントの入れ方に失敗して部屋がシーラントまみれになってしまうということもあります。特に空気をしっかり抜かないでシーラントを注入してしまうと大惨事になります。ただ、ここはしっかりとメーカー指定の手順を踏めば問題ないところでもあります。

チューブレス・レディタイヤの場合、出先でパンクした場合は新しいタイヤとシーラントで修理をすることになりますが、シーラント入りの古いタイヤを触るので確実に汚れます。修理キットにゴム手袋を入れておくなど工夫が必要です。

重量が増える

シーラントはタイヤ1本あたり30〜60mlほど入れることになるので、2本で最大100gほど重量がアップします。たかが100gですが、ロードバイクでバイクの軽量化に力を入れている方にとっては大きな数字です。

シーラントはしっかりとタイヤ・チューブの中に充填しないと効果が落ちるので、薄めたり少なく使ったりはできません。

定期的に補充が必要

シーラントは一度注入したらずっと効果があるわけではありません。メーカーにもよりますが、概ね半年から1年ほどでシーラントは揮発していきます。そのため、シーラントは定期的に注入する必要があります。

チューブラータイヤはシーラントがなくても走行できるため大きな問題にはなりませんが、チューブレス・レディタイヤの場合はシーラントがないと空気が抜けてしまうので、定期的なメンテナンスが必須です。

この辺りは、パンクしなければ1年でも2年でも使えるクリンチャーにはないデメリットです。

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シーラントの入れる量の目安と追加・補充するまでの期間

シーラントの入れる量の目安

シーラントの入れる量の目安については、シーラントによって異なります。例えば、チューブレス・レディを最初に提唱したと言われるStan’sのシーラントは、以下のように入れる量を定めています。

  1. 1〜2.4インチ(23C〜60C): 60〜90ml
  2. 2.5〜4インチ(63C〜100C): 90〜120ml

ただし、これはあくまでシーラントメーカーが推奨する量で、ロードバイクのように細いタイヤの場合は規定量よりも少なくても長期間エアを保持できるケースもありますし、MTBのように太いタイヤでは規定量よりも多めに入れないと一晩でエアが完全に抜けてしまうケースもあります。

そのため、最初にシーラントを入れる際は、シーラントの規定量の下限、もしくはそれよりも少なめで入れて一晩おいてからエア漏れの状況を見て、エア漏れが発生するなら追加をするというのがおすすめです。

シーラントはどれくらいの期間で追加・補充する?

シーラントは自然に乾燥してしまうため、一度入れたら永続的に効果があるものではありません。そのため、定期的な補充・追加が必要です。

では、どれくらいの期間で追加・補充が必要かというと、目安としては半年に一回、短い場合は2ヶ月くらいで追加・補充するのが一般的です。

ただし、タイヤ内部のシーラントの状態は「自転車に乗る頻度」や「保管状況(湿度、気温など)」、「シーラント・タイヤの相性」などによって異なるため、ケース・バイ・ケースと言えます。半年以上持つ場合もあれば、1ヶ月ほどで乾いてしまう場合もあります。

そのため、「最近エアが抜けやすくなったな」と思ったら、ホイールを外してタイヤを上下に振ってみて、「チャプチャプ」という液体の音がどれくらいするかでチェックするのが良いでしょう。全く音がせず、エア漏れが早くなっていたら、シーラントの追加・補充のタイミングと見て良いでしょう。

ロードバイク・MTBのシーラントの選び方

定番メーカーの製品を選ぼう

ロードバイク・MTBで使うシーラントは自転車専用メーカーの定番製品を使うのがベストです。

シーラントの定番メーカーとしては、

  1. Muc-Off
  2. Panaracer
  3. STANS
  4. Vittoria
  5. BLACK OX
  6. Mavic
  7. IRC(井上ゴム工業)

などがあります。

どのシーラントが良いかは相性もあるので一概には言えませんが、無名メーカーよりかは定番メーカーの方が安心して使えます。

タイヤ・ホイールによってはメーカー指定がある場合も

注意が必要なのは、チューブレス・レディ、チューブレス・レディのホイールでは、装着するタイヤ・充填するシーラントを、ホイールメーカーが指定している場合があります。

メーカー指定外の組み合わせでは使えないというわけではないですが、メーカーが謳っている性能はメーカー指定のもので計測したものになるので、性能を最大限生かすのであれば、メーカー指定のものを使うのがベストです。

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