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ヘルメットの安全機構「MIPS(ミップス)」とは?
公開日: 2021/12/22
ここ数年で自転車ヘルメットへの採用が進んでいる安全機構「MIPS(ミップス)」。MIPSとは何か、なぜ自転車ヘルメットに搭載されていると良いのかをまとめました。
この記事の目次
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MIPSは頭部を保護するための機構
MIPS(ミップス)は、正式には「Multi Directional Impact Protection System」の略で、ヘルメットの中に取り付ける、頭部保護レイヤーの名前です。
MIPSはスウェーデンの王立工科大学(KTH)とカロリンスカ研究所の研究者の共同研究で開発された特許技術で、転倒などでヘルメットに衝撃がかかった時に、脳へのダメージを軽減させる仕組みになっています。
仕組みはシンプルで、ヘルメットの外殻と頭と接する内側の間に「衝撃で稼働する特殊なレイヤー層」を設けて、ヘルメットに衝撃がかかった際に、内側のMIPSレイヤーとヘルメットの外殻がズレることで、衝撃のエネルギーを逃がすようになっています。
MIPSの仕組みについては、スポーツヘルメットメーカー・GIROの公式動画詳しいのでそちらをご覧ください。
上のGIROの動画でも解説されていますが、人間の脳と頭蓋骨の間にある「脳脊髄液」という液体の役割を、MIPSレイヤーで再現しているということです。
自転車ヘルメットに最適なMIPS
では、なぜ自転車ヘルメットでMIPSの採用が進んでいるのでしょうか?それは、MIPSが転倒による回転衝撃を軽減させるのに最適な仕組みだからです。
自転車の場合、ヘルメットが役に立つシーンのほとんどは「転倒」です。自転車で転倒をするということは、地面や障害物などに対して頭が鋭角に衝突します。この時、ヘルメット(頭)にかかる衝撃は、地面に当たる際の直線的な「打撃」だけと思いがちですが、実は頭がねじれる「回転エネルギー」もかかるのです。
MIPSはこの回転エネルギーを軽減させることで、自転車の転倒時に脳への衝撃を緩和させることができます。打撃による直線エネルギーはヘルメットの外殻で守ることができるので、MIPSレイヤーがあるヘルメットは転倒時の様々なダメージを軽減できるというわけです。
ただし、MIPS搭載ヘルメットだからといって万能ではありません。MIPSは回転の衝撃を緩和してくれますが、ヘルメットが破損するほどの強い衝撃が加わった場合、回転エネルギーよりも直線の衝撃の方が強くなるため、脳へのダメージは避けられません。
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MIPSレイヤー搭載ヘルメットを販売するメーカー
ロードバイク、MTBなどの専用ヘルメットを製造しているメーカーは、ほとんどがMIPSレイヤー搭載ヘルメットを販売しています。
大手メーカーでは、
- SPECIALIZED
- GIANT
- GIRO
- BBB
- OAKLEY
- SMITH EXPRESS
などがMIPSヘルメットを販売しています。
SPECIALIZEDに関しては、現行ヘルメットのほとんどがMIPSレイヤーを搭載していますし、上位モデルには独自に進化させた「MIPS SL」を搭載しています。
MIPSヘルメットは高い?
MIPSは特許技術を利用した特殊な機構なので、ヘルメットの値段も高くなるのか思いきや、意外と手頃な値段のMIPSレイヤー搭載ヘルメットも販売されています。
例えば、スペシャライズドのロード向けヘルメット・CHAMONIX HLMT MIPS CEは、実売で9,000円未満の比較的手頃なヘルメットですが、MIPSレイヤーを搭載しています。
頭部を守るためのヘルメットの新しい風潮になりつつあるMIPS。自転車事故のうち、死亡事故や後遺症が残る事故のほとんどは脳へのダメージが原因と言われています。そうした背景もあって、MIPSが注目されているのもあるでしょう。
万が一の事故を防ぐヘルメット。万が一の時に、大事にならないための最後の一手として、MIPSヘルメットという選択肢も覚えておいてください。