WheelTopの電動コンポーネント「EDS」の特徴、スペックまとめ
中国メーカーWheelTopが新しくリリースした格安電動コンポーネント「EDS」についてスペックや特徴をまとめました。
公開日: 2023/10/17
ワイヤーを引くだけの機械式ブレーキと違い、油圧ディスクブレーキは様々な規格やメーカーごとのテクノロジーがあります。今回は、シマノの油圧ディスクブレーキのテクノロジー・規格をピックアップ。選ぶ際のポイントを紹介します。
この記事の目次
スポンサーリンク
シマノの油圧式ブレーキレバーに搭載されているのが「SERVOWAVE ACTION(サーボウェーブ・アクション)」。
レバーの可動域のうち、最初の移動が高速になる(すぐにパッドがローターにタッチする)ため、ブレーキコントロールがしやすくなる、シマノ独自のテクノロジーです。シマノの油圧ディスクが「コントロール性能が高い」と言われている要因の一つです。
SERVOWAVE ACTIONは現行の油圧ブレーキレバーのミドルグレード以上のモデルのほとんどに搭載されています。
シマノの油圧ディスクブレーキのキャリパーのうち、上位モデルに搭載されているのが「Four Piston(4ピストン)」。
従来のディスクブレーキは、ブレーキキャリパーがパッドを押し込む起点が2つが標準でしたが、Four Piston対応キャリパーでは4つのピストンでパッドを押し込みます。また、4つのピストンはローターの回転方向から見て入り口側のピストンが小さく、出口側を大きくする「異径対向」システムを採用することで、パッドが最初に当たる部分は柔らかく、後から強く効くようになっています。
シマノはレバー側のテクノロジーであるSERVOWAVE ACTIONと組み合わせることで「従来モデルよりも50%も高い停止力になる」としています。
Four Pistonは現在はMTB向けのブレーキ・キャリパーのみに搭載されています。
油圧ディスクブレーキ・キャリパー本体側のテクノロジーが「MONO-BODY(モノボディ)」。
従来の油圧ディスクブレーキ・キャリパーは、左右2枚のボディパーツをねじ止めして組み合わせて製造されていましたが、MONO-BODYのキャリパーは単一の冷間鍛造された一つのボディとなっています。これにより、キャリパーの剛性を高め、軽量化を実現しています。
MONO-BODYを採用している油圧ディスクブレーキ・キャリパーは、現行の最上位グレード、ロード向けDURA-ACE・R9200シリーズ、MTB向けXTR・M9100シリーズのみとなっています。
油圧ブレーキシステムの難点が、エアを抜いてブレーキシステムにオイルを充填させる「ブリーディング」という作業。
製品にもよりますが、かつての油圧ブレーキシステムでは、
という3段階の作業が必要な場合もあり、非常に時間と手間がかかる作業でした。
現在のシマノの油圧ブレーキシステムでは、多くのモデルが「ONE WAY BLEEDING(一方向ブリーディング)」を採用。ONE WAY BLEEDINGでは、レバーとキャリパーを一方通行でブリーディングすることが出来るため、ブレーキシステム全体のブリーディングを一括で行うことが可能。メンテナンス性が非常に向上しています。
これから油圧ディスクブレーキを買うならONE WAY BLEEDINGは必須と言えます。
ここまで紹介した各テクノロジー・規格とシマノのロード向け、MTBコンポの対応状況をまとめました。
シリーズ | グレード | SERVOWAVE ACTION | Four Piston | MONO-BODY | ONE WAY BLEEDING |
---|---|---|---|---|---|
R9200 | DURA-ACE | ○ | - | ○ | ○ |
R9100 | DURA-ACE | ○ | - | - | ○ |
R8100 | ULTEGRA | ○ | - | - | ○ |
R8000 | ULTEGRA | ○ | - | - | ○ |
6800 | ULTEGRA | ○ | - | - | ○ |
R7100 | 105 | ○ | - | - | ○ |
R7000 | 105 | ○ | - | - | ○ |
5800 | 105 | ○ | - | - | ○ |
4700 | TIAGRA | - | - | - | ○ |
RX820 | GRX | ○ | - | - | ○ |
RX810 | GRX | ○ | - | - | ○ |
RX400 | GRX | ○ | - | - | ○ |
M9100 | XTR | ○ | ○ | ○ | ○ |
M9000 | XTR | ○ | - | - | ○ |
M8100 | DEORE XT | ○ | ○ | - | ○ |
M8000 | DEORE XT | ○ | ○ | - | ○ |
M7100 | SLX | ○ | ○ | - | ○ |
M7000 | SLX | ○ | - | - | ○ |
M6100 | DEORE | ○ | - | - | ○ |
M6000 | DEORE | ○ | - | - | ○ |
MT420 | DEORE 10s | - | ○ | - | ○ |
M4100 | DEORE 10s | - | - | - | ○ |
M4000 | ALIVIO | - | - | - | ○ |
M3000 | ACERA | - | - | - | ○ |
M2000 | ALTUS | - | - | - | ○ |
M820 | SAINT | ○ | - | - | ○ |
M640 | ZEE | ○ | - | - | ○ |
U8000 | CUES | - | - | - | ○ |
S7000 | ALFINE | ○ | - | - | ○ |
S700 | ALFINE | ○ | - | - | ○ |
MT200 | ノーグレード | - | - | - | ○ |
MT400 | ノーグレード | - | - | - | ○ |
MT500 | ノーグレード | ○ | - | - | ○ |
※ 対応規格・テクノロジーによって、型番が違う場合もあり(例:BR-M7100->2ピストン、BR-M7120->4ピストン)
グレードの低いモデルでは2ピストンが標準となっているため、より高く繊細な制動力が欲しいなら「Four Piston」がベスト。Four Pistonは「SERVOWAVE ACTION」と組み合わせることで性能が向上するため、このセットで使うのがベストです。
ただし、この組み合わせは現状はMTBコンポのみのため、ロードバイクで使うのであれば「SERVOWAVE ACTION」のみをチェックすればOK。
と言っても、ロード向けの油圧ブレーキSTIレバーはTIAGRA 4700シリーズ以外は「SERVOWAVE ACTION」に対応しているため、「TIAGRA以外」と覚えておけば大丈夫でしょう。
自分でバイクの整備をする方なら、ONE WAY BLEEDINGは必須でしょう。
現行のシマノの油圧ディスクブレーキはほぼ全てがONE WAY BLEEDINGシステムを採用しているので、そこまで気にする必要はありません。
スポンサーリンク
ロードバイクのディスクブレーキ化に必要なパーツと買う時の注意ポイント
現在のリムブレーキ・ロードバイクをディスク化が可能かの判断ポイントをまとめて解説。ディスク化する際に必要パーツと、フレーム・ホイール、ブレーキなどのパーツ互換性、注意ポイントをまとめました。
自転車のディスクブレーキの効きにも大きな影響を与えるディスクブレーキのローター。ディスクローターの種類の違いと、選び方、アップグレードをすると何が変わるのか、大手メーカーのローターのラインアップと互換性、重量をまとめました。
自転車用ディスクブレーキのマウントの種類と見分け方、アダプターの選び方
規格違いのキャリパーや、ローターサイズの変更の時に必須となるのが自転車用ディスクブレーキのマウントアダプター。マウントアダプターの種類と見分け方、シマノのマウントアダプターの型番などを解説します。
内セレーション?外セレーション?センターロックのロックリングの種類
センターロック式ディスクブレーキ用のロックリングには内セレーションと外セレーションがあります。それぞれの違いと選び方をまとめました。
ロード向けメカニカル(機械式)ディスクブレーキ・キャリパーまとめ
メンテナンスのしやすさや、リムブレーキコンポからのディスクブレーキへのアップグレードが低コストで行えるメカニカル(機械式)ディスクブレーキ・キャリパー。主なメーカーのモデルをラインアップし、比較しました。
自転車のディスクローターの歪みとは?起こる原因と歪みを補正する方法
ディスクブレーキ自転車のディスクローター付近から「シュッシュッ」という異音が聞こえたら、ディスクローターの歪みの可能性があり。なぜディスクローターの歪みは起こるのか、歪みを補正する方法をまとめました。
シマノのロード・MTB向け油圧ディスクブレーキのテクノロジー・規格と選ぶ際のポイント
ワイヤーを引くだけの機械式ブレーキと違い、油圧ディスクブレーキは様々な規格やメーカーごとのテクノロジーがあります。今回は、シマノの油圧ディスクブレーキのテクノロジー・規格をピックアップ。選ぶ際のポイントを紹介します。
シマノの旧世代上位ブレーキと、現行下位グレードブレーキはどっちがいい?
シマノの旧世代上位ブレーキと、現行下位グレードブレーキはどっちがいいのか。シマノのブレーキのテクノロジーや発売年から考察しました。
ロードバイクのディスクブレーキ化に必要なパーツと買う時の注意ポイント
現在のリムブレーキ・ロードバイクをディスク化が可能かの判断ポイントをまとめて解説。ディスク化する際に必要パーツと、フレーム・ホイール、ブレーキなどのパーツ互換性、注意ポイントをまとめました。
WheelTopの電動コンポーネント「EDS」の特徴、スペックまとめ
中国メーカーWheelTopが新しくリリースした格安電動コンポーネント「EDS」についてスペックや特徴をまとめました。
シマノの最新リアディレイラーに採用されている「シャドー・RD」とは何か?その特徴と、選ぶメリットを解説します。
【MTB・クロスバイク】フラットバー用・油圧ブレーキメーカー
MTB・クロスバイク用の「フラットバー用・油圧ブレーキ」を製造しているメーカーと、その特徴を解説。フラットバー用・油圧ブレーキメーカーの選び方も。
シマノのロードバイク、MTB、クロスバイク用コンポーネントで採用されているチェーンの互換性を解説。チェーンの選び方について解説します。
シマノから新しくリリースされた8速コンポーネント「ESSA」のラインアップと、既存8速パーツとの互換性を解説します。
SRAMのロードバイク、MTB向けスプロケットの互換性を解説。互換するドライブトレイン、ホイールを見つけることができます。
SRAMのMTB向けコンポーネントの互換性について解説。互換性があるパーツの組み合わせ、組み合わせることができないコンポーネントをまとめました。
それぞれ別コンポーネントの互換システムにある、ロード用スプロケットとMTB用スプロケットは組み合わせて使うことができるのかを解説します。
シマノDi2コンポーネントを接続するのに必須な専用工具「プラグツール」の種類と、各Di2パーツとの互換性について解説します。
シマノ・CUESシリーズのスプロケットの互換性を詳しく解説。スプロケットと互換が発生する、リアディレイラー、チェーン、ホイールの互換性を一覧で確認できます。
シマノの油圧ブレーキ用ホース・コネクティングボルトの規格と選び方
シマノの油圧ブレーキ専用ホース「BH90」と「BH59」の違いやコネクティングボルトの種類、自分のブレーキに合う油圧ブレーキ・ホースの選び方、選ぶ際の注意点を解説します。
【メーカー別】油圧ブレーキのオイル種類と特徴、メリット・デメリット
自転車の油圧ブレーキで使われる油圧オイルの種類とそれぞれの特徴、メーカーごとのブレーキオイルの種類を解説します。
シマノ・Di2システムの根幹であり、システム全体のレイアウトにも影響を与えるDi2 バッテリー。種類と互換性について解説します。
シマノ・Di2コンポーネントのエレクトリックワイヤーの種類と、Di2コンポーネントとの互換性をまとめました。
シマノの電動変速システム「Di2」コンポーネントの世代の見分け方
シマノの電動変速システム「Di2」コンポーネントの互換性が発生する世代分けについて解説。各シリーズのコンポセットがどの世代になるのかを一覧でまとめました。
11速までと大きく変わった、シマノの12速スプロケットを使う上で重要な「取り付けるホイール(フリーハブ)」と「ドライブトレイン」の二つの互換性について解説します。
シマノの11速スプロケットを使う上で重要な「取り付けるホイール(フリーハブ)」と「ドライブトレイン」の二つの互換性について解説します。
シマノの10速スプロケットを使う上で重要な「取り付けるホイール(フリーハブ)」と「ドライブトレイン」の二つの互換性について解説します。
シマノの9速スプロケットを使う上で重要な「取り付けるホイール(フリーハブ)」と「ドライブトレイン」の二つの互換性について解説します。
MTBの「ブースト(BOOST)クランク」とは?従来のクランクとの違いと選び方
MTBの「ブースト(BOOST)クランク」とは?従来のクランクとの違い、メーカーごとのラインアップと選び方を解説します。