シマノのシフトレバーマウント規格「I-SPEC」の特徴と違い、互換性を徹底解説

最終更新日: 2024/03/08

公開日: 2024/01/10

シマノのシフトレバーマウント規格である「I-SPEC」について、その特徴、モデルごとの機能の違い、互換性について徹底解説します。

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シマノの「I-SPEC」とは?

シマノの「I-SPEC」は、シマノ独自のマウントシステムで、自転車パーツでは主にMTB向けのブレーキレバー、シフターに採用されています。

大きな特徴は「ブレーキレバーとシフターを一体化して取り付けることが出来る」という点で、コックピット周りに多数のパーツを取り付けることが多い昨今のMTBでは、重宝される仕組みになっています。

「I-SPEC」モデルは、専用の金具とボルトでブレーキのクランプにシフターを取り付ける

「I-SPEC」のメリット

「I-SPEC」の最大のメリットはレイアウト・調整の自由度の高さです。

最新のI-SPEC EVでは、左右14mm、上下の回転が最大60度まで調整ができるため、ライダーの手の大きさやライディングスタイル、握力などに合わせて、ブレーキレバー・シフターをより握りやすい・押しやすい場所に細かく調整が可能です。

ここ数年でMTBではフルサスペンションやサドルの高さを調整するドロッパーシートポストが普及したため、ハンドル周りはスイッチが多くなっています。

クランプ式のスイッチが多いと、どうしてもグリップから離れてしまうスイッチが出てきますが、押しやすいレイアウトに調整できる「I-SPEC」の存在は大きいと言えます。

また、シフトレバーをブレーキレバーに取り付けるため、シフトレバーの軽量化が可能で、見た目もスッキリするのもメリットの一つです。

「I-SPEC」のデメリット

「I-SPEC」の最大のデメリットは互換性でしょう。

基本的に「I-SPEC」は同じ規格同士でしか互換性がないため、ブレーキレバーを変えたらシフターも同時に交換する必要が出てきますし、シマノ以外のブレーキレバーやシフターとも互換しません。

ただ、最新のI-SPEC EVはエントリーグレードのDEOREから用意されており、最新のMTB12速はシングル仕様になっているため、「右ブレーキ・リアシフターのセットの交換だけ」と考えると、そこまで大きなコストをかけずに交換が可能です。

なお、すべてのシマノのMTBコンポーネントが「I-SPEC」化しているわけではなく、最新コンポーネントでも「I-SPECモデル」と「従来のクランプモデル(非I-SPEC)」の両方がラインアップされているため、ユーザーは好みの方を選ぶことができます。

シマノの「I-SPEC」の種類と違い

シマノの「I-SPEC」は、初代モデルから現行のI-SPEC EVまで細かく見れば4世代あり、それぞれ機能に違いあります。そのため、一言に「I-SPECモデル」と言っても、できることが異なるので注意が必要です。

テクノロジー 左右の移動幅 上限の回転幅 特徴
I-SPEC EV 14mm 10〜60度 構造の変更により他のスイッチのレイアウトがしやすい
I-SPEC II 12mm 15度 上下の回転ができるため調整がしやすい
I-SPEC/I-SPEC B 12mm - 現行モデルと比較すると調整範囲が狭い

I-SPEC EV

シマノI-SPECの第4世代にあたる、現行バージョンがI-SPEC EV。最大回転角度がモデルによって60度に、左右のスライド調整範囲も14mmと広がっています。

最新の「I-SPEC EV」はブレーキ側で上下、シフター側で左右に移動可能

また、「I-SPEC EV」ではブレーキレバーのデザインが変更され「クランプパーツがブレーキ本体の中央に移動している」のもポイント。クランプ部の左右にスペースができたため、サスペンションやドロッパーのスイッチをレイアウトしやすくなっています。

このデザインの変更に合わせて、クランプ部とは別にハンドルバーと密着する支点部分がブレーキレバーに用意されたため、レバーの引く力やシフターを押す力に対して2点で支えることにより、レバーの安定性が高まっています。

I-SPEC II

左右の調整しかなかった初代I-SPEC/I-SPEC Bから、ブレーキレバーのクランプ上で回転角度の調整を追加したのがI-SPEC II。最大調整幅は、上下で15度、左右で12mmまで調整が可能です。

最新モデルではCUESのブレーキレバー・BL-U8000が I-SPEC IIを採用しており、現行モデルでも採用されているテクノロジーです。

先代モデルである初代I-SPEC/I-SPEC B、後継モデルであるI-SPEC EVとも互換性がありません。

初代I-SPEC/I-SPEC B

ほとんど同じ構造の初代I-SPECと、初代I-SPECの取り付け方式を変更したバージョンの「I-SPEC B」。ブレーキレバーに固定するタイプになっているため、可動範囲は「シフトレバーを左右に移動するのみ」となります。

初代I-SPECとI-SPEC Bの違いは、シフトレバーのツメを先に引っ掛けるか、後から引っ掛けるかという点と取り付けパーツの違いですが、構造が異なるため組み合わせることができる・できないブレーキレバーとシフターの組み合わせがあります。

ブレーキレバー、シフトレバーともに、型番の末尾に「B」が付くとI-SPEC-Bだということがわかります。

シマノの「I-SPEC」同士の互換性

最後に「I-SPEC」同士の互換性を見てみましょう。

ブレーキレバー/シフター I-SPEC EV I-SPEC II I-SPEC B I-SPEC
I-SPEC EV - - -
I-SPEC II - - -
I-SPEC B -
(一部モデルのみ)
-
I-SPEC - -

基本的には同じ規格同士でしか互換しませんが、初代I-SPECのブレーキレバーは、初代I-SPEC/I-SPEC Bの両方のシフターを取り付けることができます。

それ以外の組み合わせ、例えば「I-SPEC EVのブレーキレバーにI-SPEC IIのシフター」などの組み合わせはできません。

ただ、シマノのシフトレバーは「I-SPECモデル」と「通常クランプモデル」の2種類が販売されていますので、もし互換性でI-SPECが使えないのであれば、「通常クランプモデル」を選べば問題ありません。

「I-SPEC」対応パーツを購入する際の注意点

ブレーキレバーには判別の型番はつかない

シマノの自転車パーツは、パーツ型番でモデルを判断するのが通常ですが、ブレーキレバーについてはI-SPEC対応モデルかどうか、どのバージョンのI-SPECなのかを型番で判断することはできません。

ですので、ブレーキレバーの説明文などで「I-SPEC対応モデルかどうか」「どのバージョンのI-SPECなのか」を確認する必要があります。

シフターの判別型番にも注意

I-SPEC対応シフターについては、モデル型番の末尾に「B」か「I」が付くため、I-SPEC対応モデルの判定は可能です。

ただし、「I-SPEC EV」と「I-SPEC II」はどちらも末尾に「I」が付くルールになっているため、「I-SPEC EV」なのか「I-SPEC II」なのかを必ず詳細スペックで確認してから購入するようにしましょう。

また、一部モデルには「B-I」とどちらの判別型番もつくことがありますが、このモデルのシフターは、「I-SPEC II」世代で「I-SPEC B」ブレーキレバーに互換するモデルです。

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