「子供用・幼児用自転車に防犯登録は不要」と言われますが、実際にどういうルールになっているのでしょうか。法律を基に検証していきます。
法令を守って子供も安全!自転車の子供乗せする前に知っておきたいこと
公開日: 2021/02/08
自転車に子供乗せて移動するとグッと行動範囲が広がってとても便利です。しかし、子供を自転車に乗せるには法令で定められたルールがあります。自転車の子供乗せする前に知っておきたい交通ルールを見ていきましょう。
この記事の目次
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本記事では国の法令、東京都の条例を基準に執筆しています。東京都以外の道府県では詳細が異なる場合があります。詳細は都道府県のページを確認ください。
子供乗せ自転車を選ぶ前に。子供乗せのルールは子供の命・安全を守るため
子供乗せのルールは、基本的には、
- 子供の乗せ方を守ること
- 適合自転車に乗ること
の二つです。なんら難しい事はありません。
しかし、これらのルールは子供乗せ自転車で不幸な事故が多発したために制定されたルールだということを理解しておいてください。
思ったよりも難しい「子供乗せ自転車の運転」
下記の動画は、JAFが幼児2人乗せ適合車と一般の自転車の違いを比較検証した動画です。
蛇行運転をした時やブレーキの制動距離(止まるまでの距離)、停車時の安定が全く違います。
「テストだから大げさなんだ!」なんて思うかもしれませんが、実際に子供2人乗せ自転車を運転したことがある方は納得される方が多いのではないでしょうか?子供二人乗せ自転車の運転は、実際にやってみると意外と難しいのです。
イメージとしては、自転車の前後に10kgほどの重り(要は子供)乗っていて「振り子になっている」感じです。上の動画のようにスラローム(蛇行)では左右に振られますし、信号待ちでは自転車が倒れそうになります。運転中や停車時に車体を支えるのに力が入りますし、駐輪場で取り回しするだけでも大変です。
それほど子供乗せ自転車の運転は、一人での自転車の運転とは違うものだというのを理解しておきましょう。
高くても子供の安全を守るなら安いもの
ちょっとした買い物や幼稚園・保育園への送り迎えに便利だなぁと思って、子供乗せ自転車を調べて見ると意外と高くてビックリ!「これってスクーターの値段じゃないよね?」なんて思いますよね。
数万円の出費は家計には痛いところですが、大事な子供の命や安全を守るためのものと考えて、しっかりとした自転車を選んでください。
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子供一人を乗せる場合は「一般自転車」でOK
まず、子供一人を乗せる場合は、一般自転車でOKとなっています。
この場合の乗せ方は、チャイルドシートか抱っこ紐(背負い)のどちらかになります。
パターン | 運転者 | 前 | 後 | 抱っこ紐(背負い) |
---|---|---|---|---|
運転者 + 子供1人 | 16歳以上 | 6歳未満 | x | x |
運転者 + 子供1人 | 16歳以上 | x | 6歳未満 | x |
運転者 + 子供1人 | 16歳以上 | x | x | 4歳未満 |
東京都の場合、子供一人乗せのケースのチャイルドシートに規定はありません。ただし、後々二人目が生まれて「二人乗せ」になる可能性も想定して、二人乗せ同様に「SGマーク認証チャイルドシート」が良いでしょう。
また、法令上はチャイルドシートに乗せる子供の年齢は「幼児(6歳未満)」となっていますが、SGマーク認証の前乗せのチャイルドシートは多くが1〜3歳・体重15kgまでとなっているので、適合した年齢・体重に合わせましょう。
子供二人を乗せる場合は「幼児2人同乗用自転車」が必須
子供を乗せる電動アシスト自転車などを見ていると「幼児2人同乗用自転車」と書かれていますが、この幼児2人同乗用自転車とは具体的にどんな自転車かがわかりづらいですよね。
実はここは明確な決まりがあります。
マーク | シール上の必須記載 | |
---|---|---|
自転車 | BBAマーク(自転車協会認証) | 「幼児2人同乗基準適合車」 |
チャイルドシート | SGマーク(製品安全協会認証) | 「幼児2人の同乗が可能である」 |
まず自転車本体は「BBAマーク(自転車協会認証) & ”幼児2人同乗基準適合車”の記載がある」自転車です。BBAマークだけではダメです。”幼児2人同乗基準適合車”の記載が必要です。
次にチャイルドシートは「SGマーク(製品安全協会認証) & ”幼児2人の同乗が可能である”の記載がある」ものです。こちらもSGマークだけではダメです。海外製のチャイルドシートにはSGマークがないことが多いので注意しましょう。
さて、ここまで見てきた二つの基準、この両方を満たした自転車のことを「幼児2人同乗用自転車」と言います。どちらも欠けてはいけません。
子供二人を乗せる時の乗車パターン
幼児2人同乗用自転車がわかったので、次に乗車パターンを見てみましょう。組み合わせ的には、前後チャイルドシートと抱っこ紐で3パターンあります。
パターン | 運転者 | 前 | 後 | 抱っこ紐(背負い) |
---|---|---|---|---|
運転者 + 子供2人 | 16歳以上 | 6歳未満 | 6歳未満 | x |
運転者 + 子供2人 | 16歳以上 | 6才未満 | x | 4歳未満 |
運転者 + 子供2人 | 16歳以上 | x | 6才未満 | 4歳未満 |
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子供を三人を乗せるのは法令違反
チャイルドシートと抱っこ紐があれば大丈夫なら、「幼児2人同乗用自転車+ 抱っこ紐でOKでしょ!」と思いますよね?「前シート + 後シート + 抱っこ紐 = 子供3人」というパターンです。でも、実はこれはダメなんです。
東京都の警察である警視庁のHPでも「幼児2人を乗車させた場合、運転者は幼児を背負って運転することはできません。」と明確に記載されています。
抱っこ紐の「前抱っこ」はダメ
これも見落としがちなのですが、抱っこ紐の場合、認められているのは「背負い抱っこ(つまり、おんぶ)」だけです。
警視庁のHPによると、
16歳以上の運転者は、幼児用座席を設けた自転車に6歳未満の幼児を1人に限り乗車させることができます。 さらに運転者は幼児1人を子守バンド等で背負って運転できます。
この説明文では「親 + チャイルドシート1人の状態の場合は、抱っこ紐(おんぶ)1人」という文脈になっているので、「それなら、抱っこ紐の子供一人だけ乗せる時は前抱きでも大丈夫」なようにも読み取れます。
しかし、神奈川県警のHPでは、
「幼児一人をひも等で確実に背負って」とあるとおり、抱っこひもを使用して前抱っこして自転車に乗ることは禁止されています。
前抱っこは、ハンドル操作の妨げになるのでやめましょう。
とあります。丁寧にイラストまで入ってますね。
これは、前抱っこでの運転が、道交法の「安全運転の義務」に反している(ハンドル操作の妨げになる)と見なされるからです。
第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
ですので、今回例に出したのは神奈川県警のケースですが、基本的には他の都道府県でも同様と考えた方が良いでしょう。